条例の対象となる事務の範囲
ドローンを規制する法令等の一つに条例があります。
条例の対象となる範囲を理解しておくことは、ドローン規制を理解するうえで有益です。
条例は制限なく制定できるものではありません。
条例の限界としては2つありました。
①条例は地方公共団体が地方的事務を処理するために制定するのであるから、その対象は地方的利害に関わる事項でなければなりません。
②また、自主法といえども、国法秩序の一部であるから、「法律の範囲内で」(憲法94条)制定することができるにすぎません。
今回は①条例の対象です。
条例の対象は、地方公共団体が処理すべき「地域における事務」及び「法律または政令で処理すべきこととされている事務」です(自治法2Ⅱ)。
「地域における事務」
「地域における事務」とは、地方公共団体が実施留守地域の利害に関わる公共的事務をいいます。
地方公共団体が自主的判断で規格・制度化し随意に実施することのできる事務(随意事務)もありますが、法令の定めに従って実施しなければならないもの(必要事務)もあります(自治法2条13項)。
「地域における事務」の大半は自治権に基づいて実施する「自治事務」である(2Ⅷ)が、自治事務とは別に「国(またはその他の地方公共団体)が本来果たすべき役割に係るものであって国においてその適正な処理を特に留保する必要があるものとして法律またはこれに基づく政令」により地方公共団体にその実施が義務付けられている、いわゆる「法定受託事務」もあります(2条9項)。
「法定受託事務」は、具体的には自治法またはこれに基づく政令に規定されるほか、自治法の別表第一、第二に掲げられています(2条10項)。
「法律または政令で処理すべきこととされるもの」(=非地域的法定事務)
他方、2条2項後段の「法律または政令で処理すべきこととされるもの」とは、地域的事務以外の事務で、法律またはこれに基づく政令によりとくに例外的に地方公共団体に実施が義務付けられているものをいいます(非地域的法定事務)。
例えば、根室市が実施する北方領土に本籍を持つものの戸籍事務(北方領土問題解決促進特別措置法11条)などです。