条例の法令上の限界
ドローンを規制する法令等の一つに条例があります。
条例の対象となる範囲を理解しておくことは、ドローン規制を理解するうえで有益です。
条例は制限なく制定できるものではありません。
条例の限界は二つ有りました。
①条例の対象
条例は地方公共団体が地方的事務を処理するために制定するのであるから、その対象は地方的利害に関わる事項でなければなりません。
②法律の範囲内
また、自主法といえども、国法秩序の一部であるから、「法律の範囲内で」(憲法94条)制定することができるにすぎません。
今回は②「法律の範囲内で」とはどういうことか、最高裁判決をみながら解説したいと思います。
徳島市公安条例事件判決
最判昭和50年9月10日は、条例が条例に違反するか否かは単に両者の文言にとらわれず、それぞれの趣旨・目的・内容・効果を比較して決しなければならないとします。
①まず、ある事項について国の法令中にこれを規律する明文の規定がない場合でも、当該法令全体から見て、右規定の欠如が特に当該事項についていかなる規制をも施すことなく放置すべき趣旨えあると介されるときは、これにつき規律を設けている条例の規定は、国の法令に違反します。
②次に、特定条項についてこれを規律する国の法令と条例が併存する場合でも、後者が前者とは別の目的に基づく規律を意図するものであり、その適用によって前者の規定の意図する目的と効果を何ら阻害することがなければ、条例は法に違反しません。
③また、両者が同一の目的に出たものでも、国の法令が必ずしもその規定によって全国的に一律に同一内容の規制を施す趣旨ではなく、各普通地方公共団体において、その地方の実情に応じ、別段の規制を施すことを容認する趣旨であるときは、条例は法令に違反しません。
上乗せ・横だし条例
1960年代に公害問題が深刻化し、国の規制よりも厳しい上乗せ条例・横だし条例が制定され、当初は法令に違反するとされていました。
然しながら、法令に違反しても住民の健康を守るために憲法上可能であるという主張がなされるようになりました。
そして、法律は全国を通じて確保すべき最小限を定めているものであって、地方公共団体が必要に応じて条例で定めることを排除する趣旨ではなく、したがってそれら条例が法令に違反するみる必然性は無いという考え方が次第に強くなりました。
こうれが上記判例の③的説明です。