法律、政令、省令・条例の成立・公布・施行について
ドローンの規制については、改正航空法が9月4日成立、9月11日公布、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するとされています。なお施行日は12月10日と閣議決定されています。
また、これに伴い、改正航空法施行令、改正航空法施行規則等の案もパブコメの募集が終わり、11月上旬の公布・12月10日の改正航空法施行に合わせて同日施行の予定となっています。
これらの法律、政令、省令の成立・公布・施行については、どのような手続きとなっているかを抑えておくと、今後の改正等においてもその日程感等の見通しをスムースに理解できるように思います。
法律の成立・公布・施行
法律の成立
法律案は、憲法に特別の定めのある場合を除いては、衆議院及び参議院の両議院で可決したとき法律となります。こうして、法律が成立したときは、後議院の議長から内閣を経由して奏上されます。
第五十九条 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
○2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
○3 前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。
○4 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。
法律の公布
法律は、法律の成立後、後議院の議長から内閣を経由して奏上された日から30日以内に公布されなければなりません(国会法65条、66条)。
法律の公布に当たっては、公布のための閣議決定を経た上、官報に掲載されることによって行われます。
「公布」は、成立した法律を一般に周知させる目的で、国民が知ることのできる状態に置くことをいい、法律が現実に発効し、作用するためには、それが公布されることが必要です。
なお、法律の効力が一般的、現実的に発動し、作用することになることを「施行」といい、公布された法律がいつから施行されるかについては、通常、その法律の附則で定められています。
法律の公布に当たっては、その法律に法律番号が付けられ、主任の国務大臣の署名及び内閣総理大臣の連署がされます。
(参考 内閣法制局のサイト)
法律の施行
法律の施行については、一般的に国民への周知という観点から一定の期間を置くことが望ましいと考えられています。
加えて、その法律の中で政省令への委任がされている場合等には、その準備のためにある程度の期間が必要となります。
そのため、公布後一定期間を置いて施行するのがむしろ普通なわけですが、その方法としては、
(1)当該法律の附則で確定日として施行期日を定めるものと、
(2)他の法令にその定めを委ねるものとがあります。
いつからその法律が動き出すかということは、特に国民の権利義務に直接影響のある法律の場合には非常に重要な事項ですから、本来は(1)をとることが望ましいのですが、法律の執行の便宜にも配慮する必要があることから、(2)の方法がとられることも多いようです。
ただ、この場合にも、白紙委任ではなく、「この法律は、公布の日から起算して○月(○年)を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」という形で委任されます。
今回の改正航空法の施行については、このパターンですね。「公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する」でした。
(参考 参議院のサイト)
政令の成立・公布・施行
政令は以下の手続きによって制定されます。
閣議において決定され(内閣法第4条第1項)、
主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署し(憲法第74条)、
天皇が公布します(憲法第7条第1号)。
施行については、法律の施行参照。
省令の成立・公布・施行
省令は、各省大臣(主任の大臣)が個別に制定します。
法律・政令などが天皇の名で公布されるのに対して、省令は制定した各省大臣の名で公布されます。
施行については法律の施行参照。
条例の成立・公布・施行
条例は地方公共団体の議会において制定されます。
公布・施行については、地方自治法16条に定められています。
地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)(抄)
第十六条 普通地方公共団体の議会の議長は、条例の制定又は改廃の議決があつたときは、その日から三日以内にこれを当該普
通地方公共団体の長に送付しなければならない。
② 普通地方公共団体の長は、前項の規定により条例の送付を受けた場合において、再議その他の措置を講ずる必要がないと認
めるときは、その日から二十日以内にこれを公布しなければならない。
③ 条例は、条例に特別の定があるものを除く外、公布の日から起算して十日を経過した日から、これを施行する。
④ 当該普通地方公共団体の長の署名、施行期日の特例その他条例の公布に関し必要な事項は、条例でこれを定めなければなら
ない。
⑤ 前二項の規定は、普通地方公共団体の規則並びにその機関の定める規則及びその他の規程で公表を要するものにこれを準用
する。但し、法令又は条例に特別の定があるときは、この限りでない。
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