金融庁 其の組織と特徴

概要

金融庁は内閣府の外局として設置されている庁です(内閣府設置法49条3項、金融庁設置法2条1項)。金融庁は、①我が国の金融の機能の安定を確保すること、②預金者・保険契約者・有価証券の投資者その他これらに準ずるものの保護を図ること、及び③金融の円滑を図ることを任務とします(同法3条)。
金融庁はこれらの任務を達成するため金融規制法を所管し金融規制法に基づき金融行政を行っています。金融規制法には、例えば、銀行法、金融商品取引法、資産流動化法、保険業法、貸金業法、信託業法、資金決済法などがあります。

金融庁の組織の特徴

金融庁は日本で唯一の金融規制監督機関であります。以下其の特徴をあげます。
  1. 銀行・証券・保険・ノンバンクの全てを所管すること。 これらに加えて会計基準・監督基準・公認会計士・監査法人も所管しています。なお、商品取引所は農林水産業、商品先物取引業者は経済産業省が所管しています。
  2. 金融制度の企画・立案機能を有しています。所謂「財政と金融の分離」であり、世界でも珍しい制度です(他にはシンガポール通貨省(MAS))。
  3. 「金融担当大臣」が存在します。これも世界で珍しいようです。国際的にIOSCO原則が証券規制当局の「運営上の独立」を求めていることに照らすと、金融庁の政治的独立性には問題があるようです。
  4. 機能別組織となっています。①官房機能と制度の企画立案を担う「総務企画局」、②監督機能を担う「監督局」、③検査機能を担う「検査局」から構成されます。
  5. 市場監視機能を担う証券取引等監視委員会が金融庁におかれています。これも国際的に珍しいようです。
  6. 監督機能と検査・監視機能が分離されています。

金融庁の地方組織の特徴

  1. 地方の金融機関等の監督・検査・監視機能は、財務省の地方支分部局である財務局・財務支局が担当しています(財務省設置法13条1項、14条2項)。金融庁には独自の支分部局が存在しないのです。 
  2. 金商法では財務局・財務支局長への権限の委任(内閣総理大臣→金融庁長官→財務局長・財務支局長への権限委任。または内閣総理大臣→金融庁長官→証券取引等監視委員会→財務局長・財務支局長への権限委任)の形がとられています。
  3. 財務局・財務支局が担う金融監督・検査・監視機能については、財務省は指揮監督権を有さず、金融庁または証券取引等監視委員会が指揮監督権を有します(同法13条2項、14条5項、金商法194条の7第8項)。 各財務局・財務支局では、それぞれ金融監督と金融検査を専担する金融監督官と検査監理官が理財部におかれ、証券取引等監視を専担する証券取引等監視官が局長直轄でおかれています。
  4. 財務局のうち関東財務局が、①資本券50億円以上の内国会社及び全ての外国会社の開示に関する権限(金商法施行令39条1項2項)、②公開買い付けの開示に関する権限(同令40条1項)、③非居住者の大量保有公告に関する権限(同令41条1項)等を委任されており、重要な機能を有しています。

金融庁の体制・人員の特徴

  1. 金融庁・証券取引等監視委員会は、法の適正な実現(エンフォースメント)を確保する為の行政(監督・監視・検査)が重視されている行政機関です(企画立案だけではなくルールを遵守させることに重点をおいています)。金融庁は独占禁止法を所管する公正取引等監視委員会や税の執行を担う国税庁とともに、法の適正な執行を重視する行政機関です。金融庁・証券取引等監視委員会の職員の約8割が法執行部門(監督・検査・監視)に所属し、約6割弱が検査・監視部門に所属しています。
  2. 金融庁・証券取引等監視委員会の人員・組織は大幅に拡充されてきています。平成10年6月22日に設置された際の金融監督庁・証券取引等監視委員会の定員は403名でしたが、平成25年末の金融庁・証券取引等監視委員会の定員は1547人です。
以上が金融庁の組織と特徴です。
次回は、証券取引等監視委員会にスポットを当てて説明してまいります。
(参考文献)
松尾直彦「金融商品取引法」(第3版)

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