証券取引等監視委員会の組織と主な権限

所謂、金融庁検査を実施する機関である証券取引等監視委員会について、其の組織と権限を概観いたします。ファンド運営に携わる金融商品取引業者にとって、検査する側の事柄を理解しておくことは当然ながら重要であるように思います。

組織

証券取引等監視委員会は、「審議会等」(内閣府設置法54条)として金融庁におかれています(金融庁設置法6条1項)。監視委員会は、金商法、投信法、資産流動化法などの規定により其の権限に属された事項を処理します(同法8条)。
監視委員会は、内閣総理大臣が両議員の同意を得て任命する任期3年の委員長及び委員2人をもって組織する合議制機関であります(同法10条−13条)。委員長・委員は原則として在任中其の意に反して罷免されることの無い身分保障を与えられています(同法14条)。内閣総理大臣及び金融庁長官は、合議制機関である監視委員会をしき監督できず、委員長・委員の職権行使の独立性が確認的に明示されています(同法9条)。
監視委員会には事務局がおかれます(同法19条)。監視委員会は、平成18年7月に従来の2課体制から5課体制に拡充され、平成23年7月に現在の6課体制に強化されています。具体的には、総務課、市場分析審査課、証券検査課、取引調査課、開示検査課および特別検査課です。

権限

監視委員会は、法の規定により委任を受けた権限として、以下の権限を有します。
  1. 金融商品取引業者等に対する報告・資料提出命令及び検査の権限(金商法194条の7第2項本文・3項、施行令38条、38条の2第2項)
  2. 課徴金調査権限(金商法194条の7第2項8号)
  3. 開示書類の提出者・関係者・参考人、公開買付者・関係者・参考人、大量保有報告書の提出者・関係者・参考人等に対する報告・資料提出命令および検査の権限(金商法194条の7第3項、施行令38条の2第1項)
  4. 大量保有報告書にかかる発行会社・参考人に対する報告・資料提出命令権限(同)
  5. 裁判所への緊急禁止・停止命令の申立権限及び其の為の調査権限(金商法194条の7第4項)
  6. 職員独自の権限として、犯則事件調査権限(金商法210条、211条)
以上となりますが、裁判所への緊急禁止・停止命令の申立権限、犯則事件調査権限について次回もう少し説明し、併せて検査後の「勧告」「建議」についても説明したいと思います。
(参考文献)
松尾直彦「金融商品取引法」(第3版)

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