国法体系を一度整理します。憲法、条約、法律、命令(政令、内閣府令、省令、規則)、条例、通達等。

国法体系を一度整理します。憲法、条約、法律、命令(政令、内閣府令、省令、規則)、条例、通達等。

今国会(第189回国会、常会)でも重要法案が成立する見通しです。ドローン規制法案(改正航空法)、安保法案等。
国会は国の唯一の立法機関ですので、「法律」はここで成立します。

法律はそこまで細かく規程しませんので、法律執行上のルール等は施行令や施行規則等で規程されることが多いです。

これらは、誰が何を根拠に決めているのか。

ガイドラインや、監督指針、通達とは何なのか。

其々の名宛人は誰か(誰に向けてのルールなのか)。

重要法案が成立するであろう今国会も、残り1ヵ月。この後、具体的なことが命令等で決まっていきます。

そこで、命令を中心に一度整理しておこうと思います。

憲法

国家の基本的な統治構造を定める基本法。
名宛人は、国家権力。国民に向けたものではなく、国民が国家権力に対して定めたルール。

法律は国民に対して強制力をもちますが、憲法は逆です。国家に対して強制力を持ちます。

法律

国会の制定する法形式。国会は「国の唯一の立法機関」(憲法41)。名宛人は国民。
国民の権利義務に関することはここでしか定められない。

行政権の発動の根拠も全て法律に求められる。法律の授権なくして行政庁は国民に対し命令強制することは許されない。

ドローン規制で言えば、改正航空法ですね。

命令

行政権が定立する法の総称。以下のように、政令、内閣府令、省令、規則、通達等があります。

政令:

内閣が制定する(憲法73Ⅵ、内閣法11)。
eg.金融商品取引法施行令、改正航空法施行令、

内閣府令:

内閣総理大臣が内閣府の長として発する(内閣府設置法7Ⅲ)。
法律・政令に基づき、これらを実施するための命令。
eg.金融商品取引業等に関する内閣府令

省令:

各省大臣が制定する(国家行政組織法12)。
法律・政令に基づき、これらを実施するための命令。
eg.所得税法施行規則、改正航空法施行規則、

規則:

各外局の長や委員会の発する規則(国家行政組織法13)。

命令の制定根拠(立法機関ではないのに何故?)

1. 法律執行のため付随的細目的規程を定める場合(許可申請書や届出の書式の定め等)→執行命令
2. 法律の個別具体の委任に基づいて法律の内容を補充具体化する定めをする場合→委任命令

通達

実務では上級行政庁が所管の下級行政庁に対して発する通達が実質的には法律以上に国民生活や行政官にとって重大な意味を持つことが多いです。
現代行政はもはや「法律による行政」ではなく「通達による行政」と言われるほどです。通達は国民に対する効力はありませんが、実務ではこれを知らないと業務遂行はできないほどの重要性があります。

通達:

監督行政庁が、組織上の監督権に基いて所管の下級行政庁に対し、法律の解釈や裁量判断の具体的指針等を示して、行政上の扱いの統一を期すために発する「行政組織内部での」命令です。

通達の法的性質ー行政組織の内部行為性

1. 通達は国民の法的地位に直接影響を及ぼすものではなく、下級機関の権限行使を制約するにすぎない
2.通達は法規ではなく、行政規則であるから、行政庁が国民に対し通達に違反する処分をしてもその処分は通達違反のゆえに直ちに違法とはならない。
3.通達は行政機関相互の間で効力を持つにすぎない。

ガイドライン・監督指針・審査要領

これらも広義の通達と言えると考えます。
全て行政部内の職員向けの手引書のことです。

例えば、金融庁からも事務ガイドラインと監督指針が発せられています。
これらの位置づけは次のような説明になります。上記の整理ができているとよく理解し易いと思います。

「事務ガイドライン」とは、平成10年6月の金融監督庁の発足を前に取りまとめられた、行政部内の職員向けの手引書のことです。
当時、旧大蔵省は、ルールに基づく透明かつ公正な金融行政への転換の一環として、金融関係通達等を全面的に見直し、大幅な廃止及び省令・告示化などを行い、行政の透明性の向上を図りました。その一環として、行政の統一的な運営を図るための法令解釈、行政部内の手続き及び金融機関の財務の健全性や業務の適切性等の着眼点等につき、「事務ガイドライン」が策定され、一般に公表されました。

一方、「監督指針」とは、基本的に、より多面的な評価に基づく総合的な監督体系の構築のため、監督事務の基本的考え方、監督上の評価項目、事務処理上の留意点について、従来の事務ガイドラインの内容を踏まえて体系的に整理し、必要な情報を極力集約したオールインワン型の行政部内の職員向けの手引書のことです。
つまり、事務ガイドラインを発展的に解消し、新たに策定したものが監督指針ということができます。事務ガイドライン策定後、業態ごとの特性に即したより適切な監督業務の遂行のため、より多面的な評価に基づく総合的な監督体系の構築が必要とする見方が強まり、中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針の策定を皮切りに、業態ごとの監督指針の策定が進みました。
(金融庁「金融便利帳」より)

 

改正航空法で言えば、「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」が該当します。

参考文献(原田「行政法要論」)

次回は、法律、命令の成立手続及び効力発生時期を確認します。

(参考法規)
憲法第73条  内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
六  この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。

内閣法11条 政令には、法律の委任がなければ、義務を課し、又は権利を制限する規定を設けることができない。

内閣府設置法7Ⅲ 内閣総理大臣は、内閣府に係る主任の行政事務について、法律若しくは政令を施行するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、内閣府の命令として内閣府令を発することができる。

国家行政組織法12Ⅰ 各省大臣は、主任の行政事務について、法律若しくは政令を施行するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、それぞれその機関の命令として省令を発することができる。

国家行政組織法13Ⅰ 各委員会及び各庁の長官は、別に法律の定めるところにより、政令及び省令以外の規則その他の特別の命令を自ら発することができる。

無人航空機(ドローン)の飛行に関する許可・承認申請サービスはこちらです⇩

*

COMMENT ON FACEBOOK