金融商品取引法の目的 2
金融商品取引法の目的の具体的内容をみるにあたって、ここで金融商品取引法の目次(章立て)を見てみましょう。
- 第1章 総則 1条・2条
- 第2章 企業内容等の開示 2条の2ー27条
- 第2章の2 公開買付に関する開示 27条の2ー27条の22の4
- 第2章の3 株券等の大量保有の状況に関する開示 27条の23ー27条の30
- 第2章の4 開示用電子情報処理組織による手続の特例等 27条の30の2ー27条の30の11
- 第2章の5 特定証券情報等の提供または公表 27条の31ー27条の35
- 第3章 金融商品取引業者等 28条ー65条の6
- 第3章の2 金融商品仲介業者 66条ー66条の26
- 第3章の3 信用格付業者 66条の27−66条の49
- 第4章 金融商品取引業協会 67条ー79条の19
- 第4章の2 投資者保護基金 79条の20ー79条の80
- 第5章 金融商品取引所 80条ー154条の2
- 第5章の2 外国金融商品取引所 155条・156条
- 第5章の3 金融商品取引清算機関等 156条の2ー156条の22
- 第5章の4 証券金融会社 156条の23ー156条の37
- 第5章の5 指定紛争解決機関 156条の38ー156条の61
- 第5章の6 取引情報蓄積機関等 156条の62ー156条の82
- 第6章 有価証券の取引等の関する規則 157条ー171条
- 第6章の2 課徴金 172条ー185条の21
- 第7章 雑則 186条ー196条の2
- 第8章 罰則 197条ー209条
- 第9章 犯則事件の調査等 210条−227条
以上となりますが、金商法の目的と各章の関係及びその内容を見ていきます。
目的① 投資者保護の内容
自己責任が原則でありますが、情報・交渉力格差の存在から投資者に自己責任を問う前提として、投資者保護制度が必要となります。
- 事実を知らされないことによって被る損害からの保護として、
- 各種開示制度 第2章ー第2章の5
- 不公正な取引によって被る損害からの保護として、
- 不公正取引規制制度 第6章
- 業者の不正・不当行為や破綻によって被る損害からの保護として、
- 金融商品取引業者等に関する規制 第3章
- 金融商品仲介業者に関する規制 第3章の2
- 信用格付業者に関する規制 第3章の3
- 金融商品取引業協会制度 第4章
- 投資者保護基金 第4章の2
があげられます。
目的② 資本市場の健全性の内容
資本市場の健全性とは、有価証券及びデリバティブ取引の価格形成が公正かつ円滑に行われる市場機能が確保されることであります。
資本市場の健全性が確保されるための視点
第1 市場参加者(有価証券の発行者、投資者、市場仲介者、市場情報提供者)に関する情報が適切に開示されるとともに、その行動の健全性が確保される必要があります。そのための制度として、以下が整備されています。
- 有価証券の発行者に関する開示制度 企業内容等の開示制度(第2章)、特定有価証券情報等の提供・公表制度(第2章の5)
- 投資者に関する開示制度 公開買付制度(第2章の2)、大量保有報告制度(第2章の3)
- 市場仲介者に係る制度 金融商品取引業者制度(第3章)、金融商品仲介業者制度(第3章の2)
- 市場情報提供者に係る制度 信用格付業者制度(第3章の3)
- 市場参加者全体に係る制度 不公正取引規制制度(第6章)
第2 資本市場の基盤(インフラ)となる枠組みを提供・運営する機関(市場インフラ機関)がその役割を適切に果たすことが確保される必要がございます。そのための制度として、以下が整備されています。
- 金融商品取引業協会制度(第4章)
- 投資者保護基金制度(第4章の2)
- 金融商品取引所制度(第5章)
- 外国金融商品取引所制度(第5章の2)
- 金融商品取引清算機関制度(第5章の3)
- 証券金融会社制度(第5章の4)
- 指定紛争解決機関制度(第5章の5)
- 取引情報蓄積機関制度(第5章の6)
- 指定金融指標算出機関制度(追加予定)
第3 エンフォースメント(法の実現)により、金商法の諸規則の実効性が確保される必要がある。そのための制度として、以下が整備されています。
- 個別の章における監督制度
- 課徴金制度(第6章の2)
- 罰則制度(第8章)
以上が金商法の目的と各章の関係及びその内容となります。
(参考文献)
松尾直彦「金融商品取引法」(第三版)