法定受託事務の創設、地方自治と国の関与

法定受託事務の創設、地方自治と国の関与

ドローンを規制する条例として、海岸法に基づく海岸条例、河川法にもとづく河川条例等があります。

これらの条例は、地方公共団体が行う事務のうち、法定受託事務に属します。

そこで、今回は法定受託事務について説明します。

 

地方自治法の改正

平成11年の地方自治法の改正前は、「自治事務」を「公共事務」「団体委任事務」「行政事務」の三種に分かっていました。そしてこれら自治事務のほかに、「機関委任事務」という特殊な事務形態を認めていました。

機関委任事務

機関委任事務とは、国(またはその他の地方公共団体)が行うべき事務を、法律又はこれに基づく政令で、地方公共団体の長とか委員会などの機関に委任して行わせるものをいいます。

機関委任事務は地方公共団体の機関を中央省庁の下部機関として位置づけ、その指揮・監督下に置くシステムでした。地方の自主性を阻害し、憲法の定める地方自治の保障にそぐわないものであったが、にもかかわらず、改正前には、機関委任事務は極めて大きなウェイトを占めていました。都道府県の扱う事務の7ー8割、市町村の扱う事務の4割にも達していたと言われます。

「機関委任事務」の廃止と「法定受託事務」の創設

そこで、平成11年の改正では、国と地方公共団体の関係を上下・主従関係から対等な協力関係に転換するため、機関委任事務が全面的に廃止されました。

機関委任事務の多くは、地方公共団体に移譲され、地方公共団体の自治事務とされました。

しかし、今後も国としてその執行に深い関心を持つが、国民の利便や事務処理の効率より見て地方公共団体に実施させるのが適当なものは、法律またはこれに基づく政令で地方公共団体にその実施を委任する、「法定受託事務」という形態に切り替えられました。いわば、従前の「団体委任事務」に類した形態といってよいです。

そして、繰り返しになりますが、法定受託事務に対する国の関与も関与法定主義により通達等による行政的関与はこれを認めず、地方自治権の強化が図られました。

なお、中央政府による権力的関与には、①是正要求、②同意、③許認可、④指示、⑤代執行などが予定されていますが(自治法245条)、これらはとくに法律に定められている場合に、必要最小限許されるにすぎません(自治法245条の3)。

地方自治法

(関与の意義)
第二百四十五条  本章において「普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与」とは、普通地方公共団体の事務の処理に関し、国の行政機関(内閣府設置法 (平成十一年法律第八十九号)第四条第三項 に規定する事務をつかさどる機関たる内閣府、宮内庁、同法第四十九条第一項 若しくは第二項 に規定する機関、国家行政組織法 (昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項 に規定する機関、法律の規定に基づき内閣の所轄の下に置かれる機関又はこれらに置かれる機関をいう。以下本章において同じ。)又は都道府県の機関が行う次に掲げる行為(普通地方公共団体がその固有の資格において当該行為の名あて人となるものに限り、国又は都道府県の普通地方公共団体に対する支出金の交付及び返還に係るものを除く。)をいう。
一  普通地方公共団体に対する次に掲げる行為
イ 助言又は勧告
ロ 資料の提出の要求
ハ 是正の要求(普通地方公共団体の事務の処理が法令の規定に違反しているとき又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害しているときに当該普通地方公共団体に対して行われる当該違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことの求めであつて、当該求めを受けた普通地方公共団体がその違反の是正又は改善のため必要な措置を講じなければならないものをいう。)
ニ 同意
ホ 許可、認可又は承認
ヘ 指示
ト 代執行(普通地方公共団体の事務の処理が法令の規定に違反しているとき又は当該普通地方公共団体がその事務の処理を怠つているときに、その是正のための措置を当該普通地方公共団体に代わつて行うことをいう。)
二  普通地方公共団体との協議
三  前二号に掲げる行為のほか、一定の行政目的を実現するため普通地方公共団体に対して具体的かつ個別的に関わる行為(相反する利害を有する者の間の利害の調整を目的としてされる裁定その他の行為(その双方を名あて人とするものに限る。)及び審査請求、異議申立てその他の不服申立てに対する裁決、決定その他の行為を除く。)

(関与の法定主義)
第二百四十五条の二  普通地方公共団体は、その事務の処理に関し、法律又はこれに基づく政令によらなければ、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与を受け、又は要することとされることはない。

(関与の基本原則)
第二百四十五条の三  国は、普通地方公共団体が、その事務の処理に関し、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与を受け、又は要することとする場合には、その目的を達成するために必要な最小限度のものとするとともに、普通地方公共団体の自主性及び自立性に配慮しなければならない。
2  国は、できる限り、普通地方公共団体が、自治事務の処理に関しては普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与のうち第二百四十五条第一号ト及び第三号に規定する行為を、法定受託事務の処理に関しては普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与のうち同号に規定する行為を受け、又は要することとすることのないようにしなければならない。
3  国は、国又は都道府県の計画と普通地方公共団体の計画との調和を保つ必要がある場合等国又は都道府県の施策と普通地方公共団体の施策との間の調整が必要な場合を除き、普通地方公共団体の事務の処理に関し、普通地方公共団体が、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与のうち第二百四十五条第二号に規定する行為を要することとすることのないようにしなければならない。
4  国は、法令に基づき国がその内容について財政上又は税制上の特例措置を講ずるものとされている計画を普通地方公共団体が作成する場合等国又は都道府県の施策と普通地方公共団体の施策との整合性を確保しなければこれらの施策の実施に著しく支障が生ずると認められる場合を除き、自治事務の処理に関し、普通地方公共団体が、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与のうち第二百四十五条第一号ニに規定する行為を要することとすることのないようにしなければならない。
5  国は、普通地方公共団体が特別の法律により法人を設立する場合等自治事務の処理について国の行政機関又は都道府県の機関の許可、認可又は承認を要することとすること以外の方法によつてその処理の適正を確保することが困難であると認められる場合を除き、自治事務の処理に関し、普通地方公共団体が、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与のうち第二百四十五条第一号ホに規定する行為を要することとすることのないようにしなければならない。
6  国は、国民の生命、身体又は財産の保護のため緊急に自治事務の的確な処理を確保する必要がある場合等特に必要と認められる場合を除き、自治事務の処理に関し、普通地方公共団体が、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与のうち第二百四十五条第一号へに規定する行為に従わなければならないこととすることのないようにしなければならない。

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